低糖質シュークリームが難しいと言われるのは、皮(小麦粉)とカスタード(牛乳・砂糖・コーンスターチ)の二重に糖質が乗る構造だからだ。皮を大豆粉とおからパウダーに、クリームを生クリームとラカントSに置き換えれば、1個あたりの糖質は目安約23.0gから約2.3gまで下がる。数字と作り方を見ていこう。
なぜシュークリームは低糖質にしにくいのか(皮とカスタードの二重構造)
結論から言うと、シュー生地の皮とカスタードクリームの両方に糖質源があり、1個の中で2つ重なっているからだ。
栄養計算サイト「カロリーSlism」が日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに算出した値によると、一般的なシュークリームは100gあたり炭水化物約23.4g・エネルギー185kcal・たんぱく質4.8g・脂質8.9g。1個の目安量78.7gに換算すると糖質は約18.4gになる。皮は薄力粉(糖質約73g/100g)と卵・バターで作る生地、中に詰めるカスタードクリームは牛乳・卵黄に上白糖(炭水化物約99.3g/100g)ととろみ用のコーンスターチ(炭水化物約86.3g/100g)を加えて煮詰めたものだ。チーズケーキやドーナツが「粉と砂糖」の一重構造なのに対し、シュークリームは皮の糖質とクリームの糖質がそれぞれ独立して積み上がる点が糖質を押し上げる主因になる。
糖質を一気にとると血糖値が急上昇し、その反動でインスリンが余った糖を脂肪としてため込みやすくなる。シュークリームそのものが太る原因というより、皮とクリームという2つの糖質源が同じ1個に同居していることが実際の姿だ。だからこそ、皮とクリームを別々に数字で見直す価値がある。
シュークリームの皮とクリーム、糖質はそれぞれどれくらいか(材料別の数値比較)
分けて見ると差は歴然だ。皮の主原料である薄力粉と、クリームの甘味料・とろみ材料の両方に、大豆粉・おからパウダー・ラカントSより大幅に糖質が高い材料が使われている。
皮の生地に使う薄力粉は100gあたり糖質約73g(日本食品標準成分表)。これに対し、低糖質シュークリームの皮に使う大豆粉(マルコメ ダイズラボ大豆粉の公表値)は約19.3g、おからパウダー(カロリーSlismが同成分表をもとに算出した値)は約8.7gで、いずれも薄力粉の4分の1〜8分の1程度しかない。
クリーム側も同様だ。カスタードの甘味を作る上白糖は100gあたり炭水化物約99.3g、とろみをつけるコーンスターチも約86.3g(同成分表)と、どちらも高糖質な材料になる。一方、ラカントS(サラヤ株式会社の公表値)は糖類0g・エネルギー0kcal(100gあたり)で、甘さを足しても糖質はほぼ増えない。とろみ材料も使わず生クリーム(純生クリーム・乳脂肪のみ・無糖、糖質約2.7g/100g)そのものの質感でクリーム状に仕上げれば、コーンスターチ由来の糖質もまるごとカットできる。
低糖質シュークリームは何で作ればいいか(皮=大豆粉+おからパウダー、クリーム=生クリーム+ラカントS)
作れる。皮を大豆粉とおからパウダーに、クリームを生クリーム+ラカントS+卵黄に置き換えるだけで、糖質を大きく下げられる。
この皮は、大豆粉とおからパウダーを7:3程度で組み合わせるのが基本形だ。大豆粉だけだと生地がやや締まりにくく、おからパウダーだけだとパサつきやすいため、大豆粉とおからパウダーで作る低糖質ドーナツと同じ考え方で両方を使う。クリームは、糖質制限スイーツの生クリームレシピで紹介した「生クリーム+ラカントS」の八分立てホイップに、卵黄を少量加えてコクを足せば、コーンスターチなしでもカスタードに近い濃厚さが出せる。
脂質は少量でも満足感が出やすい栄養素で、消化に時間がかかる分、腹持ちも良い。皮の糖質を大豆粉とおからパウダーで削った分、クリームは生クリームの脂質と卵黄のタンパク質・脂質でしっかり満たす設計にする——これが背徳飯式の低糖質シュークリームの考え方だ。引き算だけで終わらせず、代わりに何で満足させるかまでセットで決めておくと、量を我慢する必要がなくなる。
低糖質シュークリームの作り方は?(材料・手順・膨らませ方のコツ)
作り方はシンプルだ。皮を焼いて冷まし、低糖質クリームを詰めるだけでできる。
材料(6個分)
- 皮: 大豆粉40g・おからパウダー15g・無塩バター40g・卵2個(Mサイズ)・水90ml・塩ひとつまみ・ベーキングパウダー小さじ1/2
- クリーム: 純生クリーム150g・卵黄2個・ラカントS(顆粒)大さじ3(約27g)・バニラエッセンス少々
作り方
- 鍋に水とバターを入れて中火にかけ、沸騰したら火を止め、大豆粉・おからパウダー・塩・ベーキングパウダーを一気に加えてゴムベラで手早く練り混ぜる。
- 生地がまとまり鍋底に薄い膜が張ったら火を止め、少し冷ます(60℃程度、指で触れる熱さ)。溶き卵を3〜4回に分けて加え、その都度よく練り混ぜる。生地がゴムベラですくうとゆっくり三角に垂れるくらいの硬さが目安。
- 生地を絞り袋に入れ、オーブンシートの上に直径5cm程度の丸型に6個絞る。表面のとがりを、指先に水をつけて軽くならしておくと焼き上がりの割れ方が均一になる。
- 210〜220℃に予熱したオーブンで15分焼き、生地がしっかり膨らんだのを確認してから180℃に落として8〜10分、表面がきつね色になるまで焼く。膨らみきるまでは絶対にオーブンを開けない。庫内温度が下がると生地がしぼんでしまう。
- 焼き上がったらオーブンの扉を少し開けたまま5分ほど庫内で余熱を抜き、その後は網の上で完全に冷ます。
- クリームは、氷水にあてたボウルに純生クリーム・ラカントS・卵黄・バニラエッセンスを入れ、ハンドミキサーで角がゆっくり倒れる八分立てまで泡立てる。皮が完全に冷めてから、絞り袋か切り込みからたっぷり詰める。
皮が膨らみにくいときのコツ: 大豆粉とおからパウダーは小麦粉と違ってグルテンをほとんど含まず、でんぷんも少ないため、加熱で生地内の水分とガスを閉じ込める力が薄力粉の生地より弱い。膨らみは薄力粉のシュー生地より2〜3割ほど控えめになりやすいが、次の3点で補える。①生地はやや柔らかめ(卵を心持ち多めに)に仕上げる、②オーブンは必ず高温(210〜220℃)から入れる、③膨らみきるまで扉を開けない。この3つを守れば、輪郭のはっきりした皮に焼き上がる。
市販・コンビニのシュークリームと比べて低糖質シュークリームはどのくらい低糖質か(数値比較表)
比べると差は大きい。目安の1個で比較すると、低糖質シュークリームは市販品の10分の1程度に抑えられる。
| 部位 | 一般的な手作り(Before・6個分) | 1個あたり | 本レシピ(After・6個分) | 1個あたり | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 皮 | 薄力粉60g・卵2個・バター50g・水100ml | 約7.4g | 大豆粉40g・おからパウダー15g・卵2個・バター40g・水90ml | 約1.6g | 日本食品標準成分表/マルコメ公表値 |
| クリーム | 牛乳250ml・卵黄2個・上白糖60g・コーンスターチ25g | 約15.6g | 純生クリーム150g・卵黄2個・ラカントS27g | 約0.7g | 同上/サラヤ公表値 |
| 1個合計 | 約23.0g | 約2.3g | 材料の公表値から算出 |
実店舗・コンビニの数字も見ておくと選びやすい。セブン-イレブン「バニラ広がる カスタードシュー」は1個あたり糖質16.5g・エネルギー177kcal(セブン‐イレブン・ジャパン公式サイトの栄養成分表示、税込172.80円)。栄養計算サイト「カロリーSlism」が同成分表をもとに算出した一般的なシュークリーム(1個目安78.7g)も糖質約18.4gと、大きな差はない。本記事のレシピ(1個約2.3g)は、コンビニ品と比べても7分の1程度に収まる計算だ。
手作りする時間がない日は、低糖質チーズケーキや低糖質ドーナツと同じように、コンビニの低糖質デザートを併用してもいい。詳しいメニュー別の数値はセブン-イレブンの糖質早見表にまとめてある。
低糖質シュークリームで注意したいポイントは何か
いくら糖質が低くても、食べ方と保存には気をつけたい点がいくつかある。
- 皮とクリームは分けて保存する:皮に生クリームを詰めた状態で置いておくと、生地の水分でしんなりしやすい。食べる直前に詰めるのが一番おいしく食べられる。
- 卵・乳製品を使うため日持ちは短い:クリームを詰めた状態は冷蔵庫(10℃以下)で保存し、当日〜翌日を目安に食べきる。皮だけなら冷凍で2週間ほど保存でき、自然解凍かトースターで軽く温めれば食感が戻りやすい。
- 脂質の摂りすぎに注意する:純生クリームは100gで脂質約43g・404kcalと高カロリーな食材でもある。低糖質だからといって際限なく食べれば、総カロリーは増える。
- 甘味料の摂りすぎに注意する:エリスリトール系の甘味料は多量に摂るとお腹がゆるくなる人もいる。レシピの分量目安を大きく超えて使わない。
- 持病がある人は医師に相談する:糖尿病の治療中、乳製品・卵アレルギーがある人などは、自己判断で大きく食事を変えず、必ず医師に相談する。
まとめ:明日から作れる低糖質シュークリーム
- シュークリームは皮とカスタードの二重に糖質が乗る構造。一般的な手作りは1個あたり約23.0g、コンビニのセブン-イレブン「バニラ広がる カスタードシュー」も16.5g(公式サイト公表値)と大きな差はない。
- 皮を大豆粉+おからパウダー、クリームを生クリーム+ラカントSに置き換えると、1個あたりの糖質は約2.3gまで下がる。市販品の10分の1程度に収まる計算だ。
- 皮が膨らみにくい問題は、高温で焼き始めて膨らみきるまでオーブンを開けないことで補える。大豆粉とおからパウダーはグルテンとでんぷんが少ない分、薄力粉の生地より膨らみは控えめになる前提で、生地をやや柔らかめに仕上げるとよい。
甘いものを我慢する必要はない。皮とクリーム、糖質源を2つとも入れ替えれば、普通にシュークリームが食べられる。糖質制限スイーツの生クリームレシピや低糖質チーズケーキもあわせて試してみてほしい。